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独裁者

独裁者_b0026822_11355333.jpg前から見たかったチャップリンの独裁者をやっとDVDで昨夜観ました。一言で傑作です。
観る方を釘付けにし、アクション、ロマンス、コメディーをたくみに使いこなし、役者、脚本家、監督としての素晴らしい才能を隅々まで見せているチャップリンには同じ人間としてただ驚かされました。

時代も1940年とヒットラーが実在していた頃ですから、現時代ではブッシュのパロディー映画を作るようなものでしょう。戦争の行方を知っている僕たちの世代から見て思えるのは、あの頃のどんな政治家よりもチャップリンは自体を理解しこれからの流れを見据えていたんではないかと思わされました。

国家を巨大エンタープライズと見立て、1秒たりとも休む暇の無い首席から、側近の唆しから世界の独裁者へと夢を膨らまし、資本確保の為に庶民を犠牲にするやりとり、そして脱走囚人の間違えで隣国への侵略から、侵略地での平和、協和、調和の演説。独裁者と床屋というかけ離れた2人を無理なく交差させるところ、独裁者=人間=私も彼もあなたも何かのきっかけでどちらの立場に生り得るというメッセージも含まれていたと勝手に解釈しています。


役者としてのチャップリンも申し分ないです。
始めの独裁者演説、最後の床屋演説共に今まで聞いたどの政治家の演説よりも心をひきつける素晴らしいもので、彼が実際あの頃この映画をキャンペーンの一つとして立候補していたら歴史は違ったものになっているかも。
皮肉なのが、最後の演説。
結局内容は平和主義を訴えているものなのだけど、あの頃ヒットラーは”ドイツ人の為のドイツ国家”を掲げるために同じような演説をして庶民を奮い立たせていた訳で、あの演説で共感してしまう我々にもヒットラーの手下になっていた可能性は十分あるわけです。
取り違えた平和、自由。1人の自由は他人の不自由。そういうことでしょう。
だからあの床屋は多分終戦まで同じ事を掲げて独裁者として君臨していただろうし、あの平和演説に洗脳された兵士達は国家のために数多くの策略をしていたでしょう。
言って見れば最初の演説も最後の演説も同じなのです。

ヒンケルが地球柄の風船と踊るシーンの完璧さにはただ感動するしか無かったです。
現在のブロックバスターとは次元が違います。
役者がプロとして演技で金を取るということはこういうことだよと改めて思いました。
全身全霊っていうものはこういう事を指すんですね。

この映画について色々な評論が出ていますので御興味のある方はそちらの方を参考に。


だるにー評価☆☆☆☆☆☆
by jukmann | 2004-10-14 12:25 | ? 映画

香港から30年ぶりに帰国して単身で頑張っているおっさんです。


by jukmann
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